- 「疲労がとれない…」
- 「疲労回復効果が科学的に認められている栄養素って?」
- 「イミダペプチドって疲労回復にいいの?」
今回は、こんな人に向けた記事です。
結論から先に言いますと、疲労回復に一番効果があると科学的に認められた栄養素が「イミダペプチド(正式名称 イミダゾールジペプチド)」です。
この栄養素についてよく分からない人も多いと思いますので、以下で詳しく解説します。
記事の流れは以下の通りです。
- まず、イミダペプチドが疲労回復に効果がある理由を臨床実験を挙げて説明、その後、疲労回復のメカニズムを解説します。
- そして、イミダペプチドの摂取量と多く含まれている食品、調理上の注意点を解説します。
ぜひ、参考にしてください!
イミダペプチドが疲労回復に効果がある理由
イミダペプチドが疲労回復に効果がある理由について、臨床試験例を用いて解説します。
「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」
2003年からスタートした産学官連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」では、抗疲労効果が期待される23種類の物質を用いてダブルブラインドクロスオーバー法という方法を用いた臨床試験を実施してきました。
この23種類の物質の中には、よく栄養ドリンクなどに入っているビタミンCやタウリンなども含まれます。
その結果、「クエン酸」「コエンザイムQ10」「リンゴポリフェノール」「イミダペプチド」という4つの成分に疲労回復効果があることが実証されました。
23種類も検証して4つの成分しか疲労回復効果がみとめられなかったのは意外ですね。
この4つの物質の中でも客観的・科学的な評価において、ずば抜けて高い疲労軽減効果を示したのがイミダペプチドでした。
臨床試験の内容をざっくりまとめますと、
(方法)
健康な成人男女18人を対象に、イミダペプチド200mgが入った飲料を継続して飲むグループと、イミダペプチドを含まない飲料を飲むグループに分けて、4週間飲んでもらった後、疲労測定を行う。
各グループに自転車こぎ運動を3時間半行ってもらい、4時間休息した後に自転車こぎ運動を再開、ペダルの回転数の違いを調べた。
(結果)
イミダペプチドを摂取したグループでは前半の回転数に戻っていたのに対し、イミダペプチドを摂取しなかったグループの回転数は落ちる一方だった。
この試験結果から、イミダペプチドを継続的に摂取したグループでは、作業効率の低下が抑えられることが確かめられた。
さらに試験対象者から採取した尿や血液を検査したところ、イミダペプチド200mgを摂取したグループでは、筋肉への負荷によって生じる筋肉組織の損傷や酸化によるダメージが小さく、疲労による自律神経(意思とは無関係に働く神経)の乱れも改善されていた。
また、別の試験ではこのような結果も得られています。
(方法)
日常生活で疲れを自覚している20~64歳の健康な男女207人(男性66人・女性141人)を対象に、疲労軽減の程度を調べた。
イミダペプチドを、1日に200mg摂取・400mg摂取・摂取しないという3グループに分けて、4週間後と8週間後に検査を行った。
(結果)
イミダペプチドを1日に400mg摂取したグループでは2週間後以降、200mg摂取したグループでは3週間後以降に、安定した疲労改善効果が認められた。
同じ対象者に自転車こぎ運動なども行ってもらったところ、イミダペプチドを摂取すると運動後の疲労が素早く回復することも確かめられた。
また、イミダペプチドを摂取した健康な男性グループに、全力で自転車こぎ運動をしてもらう試験も行ってみた。
すると、イミダペプチドを摂取したグループでは、こぐ力が強くなることや、作業効率・運動機能が向上することが判明した。
これらの試験結果から、イミダペプチドを摂取することで疲労が回復することが大きく期待されます。
疲労回復のメカニズム
イミダペプチドが科学的にも疲労回復が認められていることは分かりました。
では、イミダペプチドが疲労回復にどのような効果をもたらしているのでしょうか?
私たちが疲労を起こすのは、活性酸素による酸化ストレスで神経細胞が破壊されるためであると考えられています。
運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。
活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する抗酸化酵素が働くようになっていますが、発生する活性酸素の量が抗酸化酵素の働きを上回ると自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労へとつながります。
したがって、いかに体内の活性酸素を除去するかが重要な鍵になってきます。
イミダペプチドは抗酸化作用が強く、この活性酸素を除去してくれます。
このように抗酸化作用が強い食品を摂ることで、私たちの疲労は除去しやすくなり、その中でもイミダペプチドはとても効果的です。
以上が、イミダペプチドによって疲労が回復するメカニズムとなります。
イミダペプチドの摂取方法
イミダペプチドが疲労回復に効果がある理由については分かりました。
次は、イミダペプチドの具体的な摂取方法について見ていきます。
イミダペプチドの摂取量
まずは、イミダペプチドの摂取量についてです。
疲労回復のために必要なイミダペプチドの量は1日200mgです。
ですが、摂りすぎても問題ないことも確かめられています。
健康な成人男女44人を対象に、イミダペプチド400mgを含んだ飲料を12週間にわたって毎日飲んでもらう試験では、健康への影響が全くないことが確認されました。
また、イミダペプチドを毎日1200mg、4週間にわたって毎日飲んでもらうという試験でも、害は認められませんでした。
イミダペプチドを多く含む食品
続いてイミダペプチドを多く含む食品です。
代表的なものは以下の5つです。
- 鶏むね肉 1223mg
- 豚もも肉 833mg
- 牛もも肉 265mg
- カツオ 811mg
- マグロ 767mg
100gあたり含有量
※資料提供:日本予防医薬
見てもらうと分かりますが、特に鶏のむね肉、豚もも肉、カツオに多く含まれているのが分かります。
むね肉やもも肉は、脂肪が少ない部位ですので、アスリートには持ってこいですね。
調理上の注意点
イミダペプチドを含んだ料理を作る際に、注意してほしいポイントが1つあります。
イミダペプチドは熱には強いので加熱しても構いません。(肉は加熱しないと食べられません。)
ですが、水溶性だということもあって、煮込み料理ではイミダペプチドが外に出てしまいます。
なので、煮込み料理の際には煮汁までしっかり飲み干さないとイミダペプチドの摂取量が大きく減ってしまう点には注意です。
逆に言えば、鶏のむね肉が入った汁物にはイミダペプチドのエキスがたっぷり入っているということです。
煮汁も一緒に食べるカレーやシチューはおすすめです!
以上、疲労回復に一番効果があるとされるイミダペプチドについて解説しました。
栄養ドリンクより鶏のむね肉を食べた方が疲労回復効果は高いかもしれません。
もし、食事だけでは補えないという人はイミダペプチドのサプリメントなども試してみると良いでしょう。
この記事で、疲労がたまって悩んでいた人の悩みが解決すれば幸いです。
私もイミダペプチドを積極的に摂取しようと思います。
最期まで読んで頂き、ありがとうございました!
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